IPOに向けた労務管理体制

IPOを目指す企業に求められる労務管理体制の強化・整備

IPOを実現するには、将来の成長戦略を明確にする必要があります。そのうえで経営管理体制、とくに労務管理体制の強化・整備が求められます。

  1. 経営理念・経営目標に沿った組織・人事施策の構築
  2. 組織規程、職務権限規程、職務分掌規程、規程管理規程などの整備
  3. 就業規則、賃金規程、退職金規程、育児・介護規程、人事考課規程などの人事労務関係規程の整備と適法性
  4. 法令に基づく労使協定の締結・届出
  5. 法定帳簿類(労働者名簿、賃金台帳、労働条件通知書)の整備、保管状況
  6. 規程に基づく適正な運用(定めと実態に乖離がないこと)

具体的には、次のようなものとなります。

法令関係① 規程類の整備・運用状況
② 労働時間の適正な管理状況と賃金の適正な支払状況
③ 時間外労働・休日労働の管理方法ならびに労使協定の締結状況
④ 安全衛生管理体制の整備・運用状況
⑤ 労働保険・社会保険の手続状況
その他① 直近3年間の従業員の移動状況(離職率等)
② 今後の人員計画
③ 給与・賞与の水準、平均年齢、平均勤続年数
④ 社員教育制度

 (階層別の教育制度、定期的に実施されている研修)
⑤ 高齢者・障害者雇用、ハラスメント防止に関する考え方
⑥ 有期契約従業員や臨時従業員の労務管理に関する方針
⑦ 出向者や派遣社員がいる場合は、その目的と理由
⑧ 過去の労働基準監督署からの是正状況、労災案件
⑨ 労働問題に関する訴訟、紛争の有無

また、人事考課制度や苦情処理体制、メンタルヘルスなどにも留意します。
法改正の動向にも注視しながら労務管理体制を強化していき、労務コンプライアンスの整備を進めていきます。

人事労務管理におけるリスク

人事労務におけるリスクには、以下のようなものがあります。

  • 費用発生リスク……時間外手当の遡及支払い、保険未加入による遡及加入など
  • 訴訟リスク……民事訴訟:セクハラ、過労死、刑事訴訟、未払い賃金、書類送検、罰金
  • 行政処分リスク……業務停止、免許取り消し

IPOに向けては、労務コンプライアンスの遵守と労務リスクをヘッジするための仕組みを構築し、適正な運用を行うことが求められます。

北見式賃金研究所では、こうしたさまざまな労務リスクを回避するための改善支援を行います。