【その4】名ばかり管理職は認められない

当社は、課長以上の役職者に対して時間外手当を支払っていない。何か問題があるか?

監査法人の公認会計士は、名ばかり管理職の存在にも目を光らせています。多額の未払い賃金の発生につながりかねないからです。
管理監督者の定義は、法的には次のように規定されています。

労働基準法 第41条 (労働時間等に関する規定の適用除外)
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

しかしながら、それが認められるには高いハードルがあります。以下は、労働局のサイトからの転載です。ご参考にしてください。

管理監督者に該当するか否かについて、行政解釈(昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号)では、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断する」こととされている。

 そして、裁判例(育英舎事件―札幌地判平14・4・18労判839号58頁など)において、管理監督者の判定要素は、①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、及び③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていることとされていた。

 具体的な裁判例では、管理監督者性を否定したものが多く、例えば、通常の就業時間に拘束されて出退勤の自由がなく、また、部下の人事や考課に関与せず、銀行の機密事項にも関与せず、経営者と一体となって銀行経営を左右する仕事に携わることもない「銀行の支店長代理」は、管理監督者に該当しないとされた(静岡銀行事件―静岡地判昭53・3・28労判297号39頁)。

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